中目黒の川沿いにあるレストランはおしゃれなビルの2階にあります。
店内に入ると、まずキッチンとカウンターが目に入ります。テーブル席は目黒川沿いに配置されています。内装はメタリックな中にぬくもりのある素敵な空間です。
何よりも素敵だったのは、この時期のランチタイムには、ちょうど陽の光が店内に降り注ぐこと。夏は3時頃にちょうど陽が入ってくるとのことでした。春には目黒川沿いの桜を上から眺めることができるそうです。
クロスのないシンプルなセッティングです。BGMは宇宙空間を思わせるような音による単調なメロディーの繰り返しでした。この選曲はかなりの勇気が必要だと思います。
ランチはおまかせのコースのみです。梨と鰤の前菜。さいころ状に切った長野県産の梨と函館の鰤のカルパッチョが、桂剥きのなしで覆われた一品。
最後にテーブルで梨のパウダーアイスがかけられます。
食感の違いが楽しい一品でした。マイクロセロリとオイルの香りもすばらしいアクセントです。
とても変わった形のナイフでいただいたのですが、これが意外に食べやすくて驚きました。プレート上の細かい作業も得意な素敵なナイフでした。ジェームス川田さんのデザインの「露」というカトラリーだそうです。
続いても印象深いプレゼンテーションの一品。ゼブラウッドの上にホタテ貝のチップスと、生のホタテ貝が乗せられています。パリパリのホタテ貝のチップスは、ホタテ貝をピュレにして、カカオやイカ墨で色を付けて乾燥させたものだそうです。噛めば噛むほど味が出てきます。
上からかけられているのはくるみのパウダー。生のホタテ貝もくるみのオイルでマリネされており、香ばしい香りが広がります。
続いては暖色系でまとまったとても美しい一品。メインの食材はサーモン。サーモンはビーツでマリネされており、赤く染まっています。サーモンに巻かれているのは蜂蜜でマリネされたレモン、やまめの卵が添えられています。添えられているのは姫人参のピクルス。ソースはパースニップのクリーム、人参とマスタードを合わせたクリームとオレンジのソース。人参のパウダーが添えられています。
このお皿からパンとのペアリングがあります。こちらはオートミールの薄切りバゲットの上にキャロットラぺと和歌山のみかんが乗せられたもの。
続いてはトリュフがたっぷり乗ったゴージャスな見た目の一品。このお皿の一番下にはトリュフのピュレ、その上にはトランペット茸、埼玉県田中農場の濃厚な半熟卵、季節のモンドールのエスプーマ、菊芋のフリット、そして最後にトリュフと秋の贅沢な一品です。
秋の贅沢な一品に合わせるのは、キャラメライズされたオニオンの入った全粒粉のパン。
大変残念だったのは肝心のトリュフの香りが全くしなかったこと・・・。最初はトリュフもどきかと思ったのですが、説明を聞くとトリュフということだったので、ちょっと自分の鼻を疑ってしまいました・・・。鼻が悪かったのか、トリュフそのものの香りが消えてしまったのかは不明ですが、いずれにせよ、残念でした・・・。
続いてはお魚料理。鰆のポワレ。鰆の表面には網脂、下には鰆と食感を合わせたコラーゲンたっぷりの豚足の煮たものが敷かれています。豚足はケイパーとマスタードで香りを付けられています。
ソースは海苔バターソース。エストラゴンのオイルがかけられています。
パンは海藻を練りこんだブリオッシュ。焼いた後に蒸してふわふわ感を出しているのだそうです。
こちらの一品はかなり残念な一品でした。ソースや豚足の生臭さが際立ってしまい、新鮮な鰆が台無しに・・・。改良の余地がありそうです。
続いては、紫色が美しいお肉料理。黒毛和牛のグリルです。ブルーベリーのソース、いちじく、フロマージュブラン、ルビーオニオン。お肉の上にはエシャロットの酢漬け。脂肪分の多いお肉なので色々な酸味で楽しんでもらおうというコンセプトだそうです。
ペアリングするパンは、牛肉の赤ワイン煮といちじくの入った春巻き。
メインのデザートは秋の一皿。先ほどのゼブラ柄をクッキーで表現して、連関性を持たせた素敵な演出。今回は竹炭で黒色を表現しています。
お皿は白かオレンジの方が映えたかもしれません。中心にあるのは栗の渋皮煮、そのまわりには自家製の干し芋、紅茶のアイスクリーム、山ブドウのソースなど。
すばらしいハーモニーでした。本日のナンバーワン!
クラフタルはプレゼンテーションが本当に美しかったです。ただ、プレゼンに凝るあまり食材の声が消費者である私たちに届かなかったのが残念でした。シェフは若手とのことですので、これからさらに上に向かって是非頑張ってもらいたいです!!